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譜読み

「エリーゼのために」の難易度と練習方法:4つの難所をセクション別に攻略

Virtu Team8分で読めます

「エリーゼのために」は中級にあたるVirtuの難易度5です。ドイツの原典版出版社ヘンレでは1–9のうちやさしい段階の3、全音ピアノピースでは初級上のBに分類されています。冒頭の主題は有名ですが、全曲を通すには32–37小節の32分音符のパッセージ、61–77小節の左手のバスの同音連打、78–83小節の2オクターヴを超えるアルペジオと半音階下降を乗り越える必要があります。セクションごとに片手練習から始め、粒がそろわないパッセージは付点リズムやアクセント移動練習で整えましょう。

ひと目でわかる

  • Virtu 5、ヘンレ3、全音B。技術的にいちばん難しいのは78–83小節です。
  • 主題は両手で1本の旋律を受け渡します。つなぎ目が聞こえないようレガートでつなぎます。
  • 32分音符とアルペジオは、付点リズム練習とアクセント練習で音の粒をそろえます。
  • 半音階の下降は、3連符1拍ずつ区切ってから一息につなげます。

この記事で使う楽譜

Virtuのカタログに収録されているOpenUrtext版です。ベートーヴェンのバガテル イ短調 WoO 59、8分の3拍子、Poco moto。小節番号はこの版に従い、冒頭の弱起を第0小節とします。

曲はA–B–A–C–Aのロンド形式で進みます。1–22小節の主題Aに続いて24–37小節の第2部B、再び主題A、61–77小節の第3部C、78–83小節のアルペジオと半音階の経過部を経て、最後の主題Aに戻ります。同じ主題が3回登場するため、主題をしっかり仕上げれば全曲の半分以上の小節をマスターしたことになります。

どこが難しいか

Virtuでセクションごとに難易度を測ると、78–83小節がもっとも高く、次いで32–37小節の第2部、61–77小節の第3部、主題の順になります。

  • 主題A:右手が始めた16分音符を左手の分散和音が引き継ぎ、再び右手へ渡します。手が替わるつなぎ目で音が切れたり飛び出したりしやすくなります。
  • 32–37小節の第2部:32分音符の細かい音型が続く、曲中でいちばん速いパッセージです。
  • 61–77小節の第3部:左手が低いA音を16分音符で絶え間なく同音連打する上で、右手が重厚な和音を響かせます。
  • 78–83小節:右手が3連符のアルペジオで2オクターヴ以上駆け上がり、半音階で一気に下りてきます。

1. 主題:両手で1本のフレージングを作る

ミ–レ♯–ミと揺れる出だしは右手単独ですが、続くラ–ド–ミ–ラの分散和音は左手と右手で分担して弾きます。譜面は上下2段に分かれていても、聴き手には1本の滑らかな旋律として聞こえるように仕上げます。

  • まずは片手ずつ練習し、それぞれの音と指使い、移動の距離を手に覚えさせます。手順は片手練習のやり方にまとめています。
  • 両手を合わせるときは、左手の最後の音から右手の最初の音へ移る瞬間をよく聴きます。打鍵の深さと間隔をそろえ、手の交代が目立たないようにします。
  • この版では、左手の分散和音が始まる小節ごとにペダル記号が記されています。和声が変わる直前やミ–レ♯–ミの半音の動きに入る前にきれいに踏み替え、響きが濁らないようにします。
  1. 原曲
    「エリーゼのために」0–3小節、右手の16分音符を左手の分散和音が引き継ぐ主題
0–3小節。音源は元の速さより少しゆっくり再生します。

2. 第2部:32分音符の粒をそろえる

32–37小節では、右手が32分音符で和音の分散や音階を弾きます。テンポを上げると指くぐりや手の移動の箇所で音が詰まりやすくなります。2音ずつ組にして付点リズムの長–短、逆付点リズムの短–長に変奏して練習すると、長い音のあいだに力を抜いて次の指を準備する余裕が生まれます。詳しい手順は付点リズム練習をご覧ください。

  1. 原曲
    「エリーゼのために」33–34小節、右手の32分音符パッセージ
  2. 長–短
    同じ小節の右手を長–短の付点リズムに書き換えた楽譜
33–34小節。下の楽譜は、Virtuが付点リズム練習でこの小節を書き換えるそのままの表示です。

3. 第3部:左手の同音連打を軽く、手首を柔軟に

61–77小節では、左手が低いA音を16分音符で休まず連打します。手首を固めて腕の力で叩くと、数小節で腕が疲れてしまいます。左手だけを取り出し、鍵盤の表面近くで手首を柔らかく保ちながら弱音で軽く刻み、右手の和音はいちばん上の音が旋律として浮き立つように響かせます。腕が張るときは手の力を抜く練習を先に確認してください。

  1. 原曲
    「エリーゼのために」62–65小節、左手のA連打の上で鳴る右手の和音
62–65小節。

4. アルペジオと半音階:拍ごとのまとまりで捉える

78–81小節の3連符のアルペジオは、3音ごとの頭の音に軽いアクセントをつけて弾いてみます。拍の頭ごとに手の重心が安定し、親指くぐりがスムーズになります。82–83小節の半音階下降は、3連符1拍分を一気に弾いて次の拍の頭で止まる区切り練習を繰り返してからつなげます。詳しくはアクセント練習と区切り練習で紹介しています。

  1. 原曲
    「エリーゼのために」78–81小節、右手の3連符アルペジオ
  2. 最初の音にアクセント
    同じ小節の3連符ごとに最初の音にアクセントをつけた楽譜
78–81小節。下の楽譜は、Virtuのアクセント練習がこの小節を書き換えるそのままの表示です。
  1. 原曲
    「エリーゼのために」82–83小節、半音階で下りる右手の3連符
  2. 1拍ずつ区切って
    同じ小節を1拍ずつ速く弾いて止まるように書き換えた楽譜
82–83小節。下の楽譜は、Virtuの区切り練習がこの小節を書き換えるそのままの表示です。

全曲を仕上げる練習順序

  1. まず主題Aを固める1–22小節を片手ずつ、続いて両手で滑らかにつなげます。同じ主題が3回出てくるため、最初に仕上げておくと曲全体の見通しが立ちます。
  2. 中間部の難所は最初から取り出して片手練習する32–37小節、61–77小節、78–83小節は、最初から部分練習として切り出し、片手ずつ指使いを固めます。第1小節から通して難所で止まるよりずっと早く仕上がります。
  3. リズム変奏やアクセントで整えてからテンポを上げる粒がそろわない速いパッセージは、付点リズムやアクセント練習、区切り練習で指の動きを整えてから元のリズムに戻し、ミスなく弾ける範囲で少しずつテンポを上げます。
  4. セクションのつなぎ目を滑らかにつなぐ各セクションが元の速さに近づいたら前後の主題とつなげ、場面が変わるところでテンポが揺れずに移行できるよう仕上げます。

Virtuで「エリーゼのために」を練習する

「エリーゼのために」はVirtuのカタログから無料でダウンロードできます。曲を追加すると、音楽の切れ目でふつう4小節前後の区間に分け、区間ごとにその日のテンポといっしょに今日の練習リストに入れます。

  • 区間ごとに左手と右手がそれぞれ合格すると両手が始まり、両手に合格すると原曲テンポと楽譜なしの演奏へ進みます。
  • 原曲テンポで弾くとき、片手のパッセージにむらがある小節を示すと、その小節を付点リズムやアクセント練習の楽譜に書き換えて見せ、先に一度聴かせます。
  • 小節を選ぶと「楽譜を聴く」でその小節を先に聴き、「自分の演奏を聴く」でいま弾いた演奏と比べられます。

付点リズム練習をはじめ、7種類の練習はVirtu Plusで使えます。

次に弾きたいステップアップ曲

  • 月光ソナタ 第1楽章ベートーヴェン

    難易度 5
    身につくこと
    分散和音をさらに発展させ、片手の中で上声の旋律と内声の3連符伴奏を弾き分けるヴォイシング
    難しいところ
    26–27小節:右手が上の旋律と3連符の伴奏を同時に弾くあいだ、左手は低いオクターヴへ進行します。
  • ノクターン Op. 9 No. 2ショパン

    難易度 6
    身につくこと
    跳躍の広い左手の伴奏の上で、装飾音を含むカンタービレの旋律を歌い上げる表現力
    難しいところ
    33–34小節:右手が高音域で4音の音型を速く繰り返しながらクレッシェンドし、ディミニュエンドで収めます。
  • 月の光ドビュッシー

    難易度 6
    身につくこと
    両手で受け渡すアルペジオ、繊細な弱音コントロールとペダリング
    難しいところ
    35–36小節:両手でつなぐ16分音符のアルペジオの上に、右手が和音の旋律を乗せます。

よくある質問

「エリーゼのために」はどのくらい習えば弾けますか?

個人差はありますが、バイエルを終えてブルグミュラー25の練習曲の中盤から後半やツェルニー100番・30番に入る頃に挑戦することが多い曲です。サティ「ジムノペディ第1番」やシューマン「メロディー」など、Virtuの難易度4の曲を元の速さで弾けるなら十分に取り組めます。

冒頭の主題だけなら初心者でも弾けますか?

1–22小節の主題には32分音符や広いアルペジオがないため、中間部よりずっと取り組みやすいです。まずは両手で16分音符を1本の線のように受け渡すことと、和音ごとのペダルの踏み替えを主題で身につけると、後半の難所へ進む良い土台になります。

ペダルはどこで踏んで、どこで離せばいいですか?

この版では主題において、左手の分散和音が始まる小節の頭でペダルを踏み、和音が変わる場所や右手がミ–レ♯–ミと半音で動く前で離すように記されています。半音で動く箇所にペダルを残さないことで、濁りのないすっきりした響きになります。

「エリーゼのために」を、 Virtuで区間ごとに練習しましょう

楽譜を無料でダウンロードし、片手練習から元の速さの仕上げまで、今日弾く区間をガイドします。